大阪城の桜

今週のお題「お花見」

 

 先週の日曜日、高校時代の同級生と花見をした。数年ぶりに会ったこともあり、日本酒を飲みながら、近況や思い出話に花を咲かせた。
 心地よく酔ったころ、1人がふわっと舞い散る花びらを手にして懐かしそうに、「入学式の桜、覚えてるか」とつぶやいた。僕は猪口の日本酒をくいっと飲み干し、頭上の満開の桜を見つめながら、「もちろん。あれは忘れられん」と答えた。
 大阪城の目の前にあった学校。校門から階段を上がったところにある2階の入り口から見ると、まるで城がピンク色の海に沈んでしまいそうなほどの満開の桜。新しい制服を着て初めて学校に来て、高校ってどんなところだろうと少し不安だった僕らの背中を押してくれるような、勇気づけてくれるような光景は今でも忘れられない。
 片づけをして帰るとき、幹に手を当て、心の中でこうお礼を言った。「今年も立派な花と素晴らしい思い出をありがとう。来年もよろしく」。すると、突然少し強い風が吹き、僕の体にたくさんの花びらが降りかかった。「来年も期待してくれよ」という返事だったと僕は信じている。